モニュメント製作 施工事例2
「国営飛鳥歴史公園」(第五回 緑の愛護のつどい記念)
このモニュメント製作例は、平成6年に「第五回緑の愛護のつどい」にあたり、松樹園が記念花壇の設計・施工に参画したものです。
当時開催にあたっては、皇太子殿下、皇太子妃殿下御臨席で盛大に行われ、新聞にも大きく報道されました。
当社としてはかなり前のモニュメント製作例となるのですが、国営飛鳥歴史公園内で今もその歴史を刻み続けています。
もし、国営飛鳥歴史公園に足をお運びの際にはぜひモニュメントをご覧いただき、「このモニュメントはあのように制作したんだな」と
思い起こしていただければ幸いです。
それでは、そのモニュメント製作の流れをごらんくださいませ。
造園図面説明書より
公共用モニュメントを製作するにあたっては、そのコンセプトやイメージをあらかじめ関係各所に公開し、承認して頂く必要があります。
以下は、当時の造園図面説明書の内容です。
モニュメント製作 デザイン
全体図面の詳細説明
飛鳥文化はその昔、遠い西の国中国・朝鮮から海を経てはるばると日本へ渡来し開花したものです。その文化の流れを、この庭の北西から始まる外部の石積みで表してみました. この石積の形は、飛鳥古寺の発掘により出土した石組などをヒントにして描き、礎右は古寺を意味することとして配しました.さらに、北隅の石積みは船の舳先を表し、海を渡って来た文化伝来の様子を-工夫して表虚しました。
この石積みの先、南に位置する石組は、大陸文化が海を経て渡りついた日本の地・宮殿などに見られる石組、すなわち造園の歴史の原点を思わせたものとしました. 庭園の中心には大きな3枚の板石を配し、この板石には高松塚古墳から発掘された壁画を模し、飛鳥文化をさらに理解して頂けたらと思います。
モニュメント製作 デザイン
彫刻デザインの詳細説明
先ず、正面の板右の一方には男子像を刻み・その裏面に星を刻みました.
左側には穴をくりぬき、見る人、見る場所により月の満ち欠けとなるよう工夫しました。
右側の板石に太陽を、裏面には女子像が刻んであります.これらはいずれも、高松塚古墳の璧画の日像・月像・男子像・女子像・星宿図等を模しています.
さらに、この庭の四方にはそれぞれの色石を配し、東は青石(青竜)南は赤石(朱雀)西は白石(白虎)そして北は黒石(玄武)として、四神を表わしこの庭の位置づけと致しました。
モニュメント製作の開始
それでは実際の製作工程に入ります。
当時はデジタルカメラもなく、写真をスキャニングしたものなので不明瞭な部分もありますが、ご了承お願い致します。
モニュメント製作 素材調達
石材の調達
モニュメント製作に用いる石材です。
その大きさがわかるでしょうか?
この石板を3枚に割り、モニュメントを形づくります。
モニュメント製作 素材調達
石材
この石面に、壁画を描きます。
モニュメント製作 デザイン
壁画デザイン
石に刻むためのデザインを製作します。
描く絵柄は数点あり、大きな模造紙に実物大で描きます。
モニュメント製作 デザイン
壁画デザイン2
模造紙を石材に置いたところです。
モニュメント製作 デザイン
壁画デザイン2
こちらも同様にプロットします。
モニュメント製作 デザイン
デザイン転記
模造紙に描いたものを基に、花崗岩に転記します。
これで彫刻作業に移行することが出来ました。
モニュメント製作 加工工程
モニュメント加工工程
彫刻は失敗が許されません。
人の力で、少しずつ少しずつ丁寧に刻んでいきます。
モニュメント製作 加工工程
モニュメント加工工程
こちらは、彫刻デザインの詳細説明であった、「太陽」です。
正面向かって右側の板石です。
モニュメント製作 加工工程
モニュメント加工工程
これらの彫刻作業は、石の生産地(岡山県瀬戸内海)で泊まり込みで行います。